屋根は普段はあまり見えない部分ですし、多少の汚れ位なら別に気にならない、という人もいらっしゃると思います。
見た目だけの問題で塗装をするのなら、わざわざお金をかけようとは思いませんよね。
スレート屋根塗装は、耐久性・寿命を延ばすための重要なメンテナンスという役割を担っています。
塗装しないでいるとスレート材はどんどん悪くなり劣化していきます。将来的にもっと大きな工事が必要になってしまいます。
大切なお家を維持するためには、スレート塗装は欠かせません。
ただし状況によっては、塗装しないほうが良い、塗装できない・塗装しても意味がないという場合もあり,塗装ではなくカバー工法や葺き替えなどの、別の方法を考慮する必要がある場合もあります。
スレート屋根に塗装が必要な理由
スレート屋根は、基本的に塗装が必要な建材です。
なぜ塗装が必要なのか!
経年劣化で防水効果が切れる
スレート材に塗装をしなければいけない一番の理由は、スレートは年数が経つと「防水効果」が切れて材質が傷んでしまうからです。
そもそもスレートはセメントが主成分で、つなぎとして木片パルプなどの繊維質が混ぜこんであるものです。
実はセメントは「水」が弱点で、そのままだと水を吸って膨らみ、乾くと縮む、という伸び縮みを雨のたびに繰り返して、少しずつ負荷がかかって脆くなってしまいます。
そのため、最初は工場で表面に防水塗装がされています。
しかしこの塗装も永久ではなく、何年も紫外線や雨風を浴びることで弱まってきます。
そこでまた塗料を塗りなおして防水効果を復活させスレートの強度を保つ、というのが、定期的に防水効果を高める塗装の意味なのです。
きちんとお手入れすれば30年以上使えるスレート屋根ですが、塗装しなければ寿命は縮んでしまいます。
長く維持するためのメンテナンスとして、塗装は必要です。
放っておくと補修費用が増加
スレートを塗装しないままでいると、伸び縮みを繰り返して負荷が溜まり、ひび割れなどの劣化を起こします。
一つひび割れができたからといってすぐ雨漏りするわけではありませんが、放っておくとひびが広がったり欠け落ちたりする危険があるため、補修をしなければいけません。
そうすると、塗装とは別途で補修費用が必要になります。
補修も、小さなひび割れをコーキングで埋めるだけなら5,000円~でできることが多いですが、大きく欠けていた場合はスレートの交換1枚2万円~かかります。小さな補修でも、積み重なれば大きな金額の工事になってしまいます。
補修に余計なお金をかけないためにも、ひび割れなどの劣化が増える前に塗装してあげることが大切です。
雨漏りするリスク
スレートが割れたり欠けたりすると、当然その隙間から水が入ります。
また防水効果が切れたスレート自体も、水を吸ってじめじめと湿った状態になります。
スレートの下には防水シート(ルーフィング)がありますが、これも絶対のものではありません。水が当たり続ければ弱ります。
放っておけばいずれお家の内側まで水が入り込み、「雨漏り」につながってしまうのです。
雨漏り修理は、工事の規模も費用も大きくなりやすいです。
例えば天井に一か所雨漏りの染みができていたら、その真上だけ直せば良いとは限らないからです。
お家の柱・骨組みを伝ってあちこちに水が回っている可能性もあり、修繕が数十万、数百万という規模になってしまうこともあります。
そもそも日本の住宅の多くは木造住宅ですから、木が湿ると強度が落ちたり、シロアリ被害を起こす原因になったりします。
スレート材を塗装をしなかったせいで、大切なお家自体の寿命も縮め、大工事になる危険があるのです。
お家に水を入れないようにして、長く住めるお家を保つためにも、定期的なスレートの塗装はとても大切です。
塗装しても意味がないパターン
一般的にはスレート屋根は塗装するものですが、例外的に塗装しないほうが良い場合もあります。
それは「すでに塗装しても意味がない状態」のときです。
20年以上塗装していない
新築から20年以上、あるいは前回の塗装から20年以上なにもお手入れしていない場合は、塗装ではなくカバー・葺き替え工事をしましょう。
なぜなら、これだけ年数が経っていると劣化もすすんでおり、すでにスレートの強度が落ちている可能性が高いからです。
塗装はあくまで防水メンテナンスなので、塗ることで屋根の強度が完全に復活するわけではありません。
ひどく弱った屋根に塗装をしても、もう寿命は伸ばせないのです。
そうすると、今塗装をしても近いうちにまたカバー工法工事・葺き替え工事をすることになるので、塗装費用がまるまる無駄になってしまいます。
長年お手入れをしていないスレートは塗装ではなく、初めからカバーや葺き替えを視野に入れて検討しましょう。
全体的にひび割れ・欠けが多い
パッと見てもわかるような大きなひび割れ・欠けがあちこちに見られる場合も、塗装はおすすめしません。
これもすでにスレートの強度が落ちて寿命が近いサインだからです。
スレート自体が弱っているため、補修や塗装をしても、また同じところからすぐひび割れてしまう可能性があります。
それであれば、初めから屋根カバー工法や葺き替え工事を行いましょう。
パミールなどの強度不足の屋根材
実はスレート屋根の中には、製品として問題があり塗装できないものがいくつかあります。
「パミール」「レサス」などの、2000年前後に製造されたノンアスベスト切り替え時期のスレート屋根です。
強力なつなぎ材だったアスベストが使用禁止になったのでアスベスト不使用製品を作ったところ、想定以上に強度が落ちてしまったものです。
塗装をしてもすぐひび割れや剥がれが起きてしまうため、塗装する意味がありません。